产品分类
日本进口纯铁SUYP2、SUYB0、SUYB1、SUYB2、SUYBMD电磁电工纯铁棒纯铁板
電気用材料
JIS C 2503 SUYB0,SUYB1,SUYB2,SUYB3
JIS C 2504 SUYP0,SUYP1,SUYP2,SUYP3
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や電車、船舶用などを対象とする各種電装部品に使用されるソレノイド、リレーまたは電磁弁等の鉄心材として有用な軟磁性鋼部品、およびその原材料である軟磁性鋼材に関するものであり、成型加工時において高歩留まりで寸法精度に優れた部品を得ることができることに加え(以下、この特性を単に「冷間鍛造性」ということがある)、特に切削加工を行って部品に成形する際に優れた被削性を発揮し、かつJIS-SUYB-1種レベル以上の優れた磁気特性を磁気焼鈍によって確保することのできる軟磁性鋼材、および該鋼材を用いて得られるJIS-SUYB-1種レベル以上の優れた磁気特性を有する軟磁性鋼部品に関するものである。
【0002】
尚、前記「SUYB」とは、JIS
C
2503で規定される磁気特性の標準規格であり、前記電装部品においてはJIS-SUYB-1種程度の磁気特性が必要とされている。「SUYB-2種」よりも「SUYB-1種」、「SUYB-1種」よりも「SUYB-0種」の方が磁気特性に優れており、コンパクト化(軽量化)、応答速度の向上および省電力化に有効であることから、同じ用途に適用する部品であってもより優れた磁気特性を有していることが望まれる。
【0003】
【従来の技術】
自動車等の省エネルギー化に対応して、該自動車等の電装部品には磁気回路の制御のより精緻なものが求められ、これに付随して省電力化と磁気応答速度の向上が鋼部材に与えられる重要な課題となっている。具体的には、磁気特性として、低い外部磁界で容易に磁化し、かつ保磁力が小さいといった特性が鋼部材に要求される。
【0004】
このため、鋼部材内部の磁束密度が外部磁界に応答し易い軟磁性鋼材が通常使用されている。上記電装部品として用いられる軟磁性鋼部品は、例えばC量が約0.1質量%以下の低炭素鋼などを用い、該鋼片に熱間圧延を施した後、潤滑処理、伸線加工等を行って得た鋼線に部品成型や磁気焼鈍等を順次施して得るのが一般的である。
【0005】
ところで、最近における電装部品の高性能化に伴い、軟磁性鋼部品の形状・構造はますます複雑化する傾向にある。しかし軟磁性鋼材に用いる低炭素鋼は、冷間鍛造性に優れる反面、せん断加工時やドリル切削時に生じるバリが著しく、部品形状が複雑になるとその加工が困難で生産性が著しく低下する。
【0006】
低炭素鋼の被削性を改善したものに、例えば、特許文献1や特許文献2などの方法がある。前者は、PbやBiなどの低融点金属を適量添加することで、磁気特性の劣化を抑えつつ被削性を改善する技術である。しかしこの方法は、切削工具寿命の向上に主眼を置いたものであり、切削加工時に発生するバリの低減については必ずしも満足し得るものでない。しかも、PbやBiなどの被削性改善元素が磁気特性に少なからず悪影響を及ぼすので、磁気特性はJIS SUYB-2種レベル程度を上限とするものである。
【0007】
一方、後者の技術は、磁気特性に悪影響を与えないよう鋼中のMnSの分散状態を制御することによって、被削性と磁気特性の両立を図ったものであり、磁気特性はJIS SUYB-1種以上のレベルにある。しかし、より優れた磁気特性として、高加工率で部品成型後に生じやすい磁気異方性を抑制するには、更なる改善を要すると考える。
【0008】
【特許文献1】
特許第841956号公報
(第1頁)
【特許文献2】
特願2001-244393号公報
(第1頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に着目されてなされたものであり、その目的は、優れた被削性(特に、バリ発生量を著しく抑制すること、以下「耐バリ性」ということがある)を有し、複雑形状の鋼部品であっても高歩留まりで切削加工することができ、かつ優れた磁気特性を確保することのできる軟磁性鋼材、および該軟磁性鋼材を用いて得られる優れた磁気特性、特に磁化しやすくかつ保磁力が小さいことに加え、磁気異方性が極めて小さく、電気エネルギーを機械エネルギーに極めて効率よく変換することのできる軟磁性鋼部品、並びに該軟磁性鋼部品の有用な製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る被削性と磁気特性に優れた軟磁性鋼材とは、実質的にフェライト単相組織であり、MgO-Al2O3系複合酸化物の表面に硫化物が存在する複合析出物が、該フェライト組織中に分散しているところに特徴を有するものである。この様な形態の複合析出物をフェライト組織中に分散させることによって、被削性を確保できるとともに、特に磁気特性として、磁束密度が高くかつ磁気異方性の極めて小さいものが得られる。
【0011】
更にこれらの特性は、該フェライト組織中に存在する平均粒径0.5~2μmの析出物(ここでの析出物は、上記MgO-Al2O3系複合酸化物に限られない)の密度を、0.02~0.08個/μm2となるよう制御することによってより一層顕著となる。
【0012】
尚、上記「実質的にフェライト単相組織である」とは、フェライト組織が約90面積%以上であることをいい、上記「フェライト組織中」とは、フェライト粒内をさすものとする。
【0013】
本発明の軟磁性鋼材は、これらの要件を満たすようにすれば所望の効果が得られるが、下記成分組成を満たすようにすれば、上記要件を満足させるのに有効である。即ち、本発明の軟磁性鋼材は、
質量%で(以下同じ)、
C
:0.02%以下(0%を含まない)、
Si:0.1%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1~0.5%、
P
:0.03%以下(0%を含む)、
S
:0.01~0.1%、
Mg:0.005~0.02%、
Al:0.01%以下(0%を含まない)、
N
:0.005%以下(0%を含む)、
O
:0.02%以下(0%を含まない)、
Mn/S(質量比)が3以上を満たすようにするのがよく、更に他の成分として、Ca:0.01%以下(0%を含まない)および/またはTi:0.1%以下(0%を含まない)を含有させて被削性を改善したり、B:0.005%以下(0%を含まない)を含有させて磁気特性や冷間鍛造性の更なる向上を図ってもよい。
【0014】
本発明は、この様に析出物の形態制御がなされた軟磁性鋼材を用いて得られる軟磁性鋼部品も規定するものであって、該軟磁性鋼部品は、上記軟磁性鋼材の要件を満たす他、フェライト平均結晶粒径が100μm以上であるところに特徴を有する。前記「フェライトの平均結晶粒径」とは、フェライト結晶粒の短径と長径の平均値をいうものとする。
【0015】
また本発明は、上記軟磁性鋼部品の製造方法も規定するものであって、該製造方法は、上記成分組成を有する鋼材を用い、
▲1▼熱間圧延後800~500℃の温度域の冷却速度を10℃/秒以下とすること、および
▲2▼所定の部品形状に成型加工後、850℃以上で2時間以上焼鈍するところに特徴がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、前述した様な状況の下で、冷間鍛造性に優れるC量が0.01%以下の低炭素鋼材について被削性と磁気特性を兼備させるべく、これらの特性に及ぼす金属組織や析出物等の影響について様々な角度から実験を行い検討した。
【0017】
その結果、金属組織を実質的にフェライト単相組織とした上で、MgO-Al2O3系複合酸化物の表面に硫化物が存在する複合析出物を、該フェライト組織中に分散させるようにすれば、鋼材の被削性を確保できること、および鋼部品については、磁気焼鈍を行いフェライト平均結晶粒径を100μm以上とすることで、磁束密度および保磁力がJIS SUYB-1種レベル以上で、かつ磁気異方性が極めて小さいといった、磁気特性に優れるものが得られることを見出した。
【0018】
そして更に、これらの特性は、該フェライト組織中に存在する平均粒径0.5~2μmの析出物の密度を、0.02~0.08個/μm2となるよう制御することによってより一層顕著となることを見出し、本発明に想到した。以下、本発明で上記析出物等について規定した理由を詳述する。
【0019】
軟磁性材料の磁気特性は、材料内部を移動する磁壁を固定するエネルギー量に関係しており、フェライト結晶粒の大きさや、析出物の磁気的性質および分布形態の影響を受ける。
【0020】
図1はフェライト平均結晶粒径と保磁力の関係を調べたグラフであり、図2はフェライト平均結晶粒径と磁束密度[磁界の強さ:1Oe(79.6A/m)または5Oe(398A/m)]の関係を調べたグラフであり、いずれも、C:0.004質量%、Si:0.004質量%、Mn:0.22質量%、P:0.007質量%、S:0.033質量%、Al:0.0020質量%を満たす鋼材を用いて調べた結果である。